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加藤 一氏 追悼号(2000年6月増刊号)

◆加藤 一氏 エッセイ 54篇、対談、座談会、インタビュー       

  【 追悼文】 沼 勉、武藤浩太、梶原利夫、今井千尋、横尾 明、今井千束

  【エッセイ】   ニューサイクリング・サイクル誌掲載全篇集録

         世界選手権、ツール・ド・フランス、ルネルスオーダー記など   

f:id:jcao:20180927184554j:plain238頁 1800円

 ※加藤 一氏

     1925年東京生まれ。国体の自転車競技で数々の優勝を果たしたが、競輪選手

     に転身し活躍。1958年にフランスへ渡り、小さい頃からの夢だった画家の道

     に情熱を注いだ。

 

     と同時に自転車世界選手権の日本チーム監督を務めたり、「ケイリン」

     を世界に広めるなど日本の自転車競技発展に尽力した。絵画は「光と風」を

     描くパリの日本人画家として各方面からの賞賛される。2000年2月10日にパ

     リで死去、モンパルナス墓地にて永眠。

 

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・・自転車スポーツの愛好者であると、もしあなたが自分で思っているのなら、どの競輪でもよい、少なくともA級一斑の決勝レースを見て、おもしろいとおもわない人はいないはずだ。

 

 ところが(中略)競馬はいいが競輪はダメだ。あれは下品だ。(中略)競輪は全く不当な評価を、日本という国ではもらっている。・・

   「競輪:日本とフランスの捉え方の違い」(加藤 一)から

 ※写真はパリの街を走る加藤 一氏(左)、加藤氏著作「ミストラル」(右)

 

 

 ■二月十日朝、加藤はどこかに旅立っていった。二日後、パリに冬の虹がかかった。その七色の帯は加藤の死を私に受け入れさせ、さらに世界選手権のシンボルカラーなのだという深い感慨をもたらした。

 

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 やがて夏が来る。友達を誘って、またパリに出掛けてみたい。そして馴染みのキャフェのマダムに「グラスをもう一つ、ムッシュ・カトウのために」と頼もう。

 

 ひょっとして、そのグラスのボジョレーが少しづつ減っていったとしたら。どこからか聞こえる「まったくお前さん達ときたら......」という風の中の声と共に。(加藤アシスタント 今井千尋)